04 あのしたで

朝から彼と観覧車の下で待ち合わせた。
ゲートの前じゃなくて、ここの下に。
なぜか、一日園内で過ごす二人で居たかったから。
彼に待ち合わせの日時と共に、
場所を告げた時は一瞬の合意と約束が成された。
「ありがとう」と返した私の言葉は、
現在の彼と、過去から繋がる私と少し先の予定に向けられて、
言った後に照れくさくなってきた。
チケットは事前に買っておいたのを、次の夕食のテーブルで渡した。
例ものとして、素直に受け取ってくれた。
当日、待ち合わせ場所にはすでに彼は着いているのは、彼らしい。
立ち話もそうそうに、先日雨が降っていたのでベンチには座らず、
早速にはなるけど、観覧車に乗ることにしました。
上がるにつれて週末に来る機会がない私たちを、
見慣れない景色で楽しませてくれた。
子どもの時に見る景色はもっと人が多く、もっと広く、もっとはしゃいでいる。
私はそれらと一緒に居る事を一人として、また違う誰かと隣り会って座っている。
敷地の近くを走る車は妙に大人にも感じる。
理由は考えなかったけど、隣りの人がそうさせてくれたのかも知れない。
そんなことを後で感想としてまとめたか、その時に感じたかは今はわからないが、
好ましかったのはたしかだ。
話すことは他愛なく、「雨が降らなくてよかったぁ」、「ご飯食べててきた?」
なんてもんだ。
午後の話しはしなかった。一日は思った以上に長い。
彼が今日は電車の中で「ジャズを聞きながら来た」と、
嬉しそうに色々語っているのが面白かった。
彼が再生するのを選んでいる様子を浮かたのも、記憶とおなじに残ってる。
普段はお気に入りリストを携えて職場に向かう私は、
今日は静かにゆっくりと歩いき、ゆっくり電車と向かう道を眺める景色がリズムを打つ。
椅子や壁にある落書きとキズに目がいった。
この中に友達のはあるのかなぁ?っと一つ一つから全体を見渡していくと、
実家の柱と廊下と壁を思い出した。
セロテープや画鋲のなごりと遊ぶことのはじまりを鳴らすような落書き。
意識することなく支えてくれていた事に感謝する。
あれが無ければ、わたしはどこから遊んでいたのだろうか。
そんなことを彼に話していると、
彼はわたしが思っている以上に面白そうに笑ってくれた。
観覧車がゆっくりと下りながら会話が途切れた隙に、
後ろの景色を覗きながら黙りと潤んだ。
しばらく観覧車の音が響いてから、
初めの声に気をつけながら下りてからの話しをしあった。
上からはいくつかキレイな通りが見えるけど、
乗り口のあのしたに着いてから、決める事にした。