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今日は残業のない日だった。
常日頃は雑然とする時間に、静かさがある。
今日は何かして帰ろう、
何処に行こう?、各々の頭の中に流れだす。
そこに「トゥルルルー」、
会社にではなく、私の携帶に着信。
マナーモード設定にせずにいたので周りに会釈しながら取る。
マンションの管理人のオバサンからだ。
これといった用事ではなく、
実家から宅急便を受け取ってくれたようだ。
で、中身が実家で獲れた食材も一緒に入っているらしいが、
今から外食に出るから
(恐らく前に通路であった時に言っていた歌手のコンサートだろう)、
預かれないからどうしよう、っとの連絡をしてくれたみたいだ。
仕事中を除けは、ほんと律義な人だ。
幸い今日はもう退社が出来きそうなので、
外に出られる前に頂きに伺えると思いますとの旨を伝える。
ほっとした声で、お待ちしておりますとの返答だった。
電話を切った後にもう一度周りに会釈をして仕事に戻る。
そうこうしているうちに作業は順調に進む。
明日以降に待構えている課題が頭をかすめて、
小さな会議が設けられる場面もあるが、
穩やかに秒針が刻まれる。
キーボードーのEnterを最後に押し、今日の仕事を終え一息つき、
上着を羽織り、お疲れ様ですと交わしながら会社を出る。
帰路中に携帶で実家に電話してみるが出ない。
恐らく収穫の時期だからそれ所ではないらしい。
この時間に帰るのは久しぶりで、
電車の中で見る学校帰りの学生と日暮れが遅いこの季節が妙に懐かしく思えた。
駅から近くにあるコンビニに入るのが日頃の順路だが、
今日は横目に通り過ぎる。
マンションの玄関口のポストを見ると
新聞の夕刊の下に宅急便の不在者通知が入っていた。
一階奧にある管理人さんの部屋に早速行き、ベルを鳴らす。
しばらくするとオバサンは余所行きの格好共に、ダンボールを抱えてでてきた。
ありがとうござます。、いえいえどういたしましてっと、慣れた形を終えて
マンションの荷物預かり表なるものにサインをし、
ダンボールの上に夕刊と不在者通知を載せて、最後に一礼して部屋を出る。
マンションの鍵を開けて、テーブルの上に一式を置き、
カーテンを開けて、洗濯物を取り入れながら夕方を近くに見た。
すっかり家に居るよりも会社で過ごす時間が多いので、割りと片付いている。
冷蔵庫から出してきた水を一飲み。
ダンボールにカッターを入れ開けると、
収穫されたものの上にはいつものようにメモが。
弟の結婚式の日取りと、
先日送ったコーヒー豆を気に入ってくれて事が書いていた。
そして文の最後に収穫が最後になる事が記されていた。
いつもよりも大目の荷物を見ながら、
今年の正月はコーヒー豆を持って帰る電話する事にした。