01 歩ク。

朝起きると主人が横に居なかった。
「主人」と私が呼び出して3年が経つ。
主人は早くから起きて、昨日持ち帰った仕事をしていた。
ごくろうさまです。
なので、私が起きたそばから用意していたご飯を出してくれた。
ありがとう。
私は少し遅めの朝食を済ませ、昨日し忘れた洗濯物を片付ける。
ごめんなさい。
そして、今日は主人との約束の日。
だから主人は朝から仕事を済ませようとしてくれた。
ホント主人には頭が上がりません。
約束。
以前から行きたいと言っていた公園。
その公園は、とっても広くて來たるべき
私の子供が生まれてる前から、
そして生まれてからも主人と一緒に歩きたいと思っている。
紺碧な空と、深々とした芝の上で寝転がれるのは、
今のうちかも知れない。
もしかしたら、そんな事もないのかもしれない。
もっともっとあるのかもしれない。
ただ、ほんのわずかあるザラツキを見届け、
そして不意に主人は行こうと言い出してくれた。
心待ちはすでに清々しい気持ちだ。
だけど、それでも主人と行く事が「今日」っという事なのだろう。
それが子供にだって移ろう日々なのだろう。
私と主人はなにも持たずに、
変哲無く、歩いていった。
しばらく一緒に足を進めていると、
新天地であるはずなのに、
あたかも子供頃に行き慣れた小学校に着たかのようだ。
公園で目の前を通り過ぎる景色は、
久々に見る心許す同級生は、
また大人にさせてくれる事を抱かせてくれる。
迷いなく添えられる教室にうなづき、
その瞬間、ザラツキが大人になる。
もっともっとあるのかもしれない、
またそう思いながら身体を起こし、歩く。