BORN TO RUN 走るために生まれた 著クリストファー・マクドゥーガル

現代人にとって「走る」というのは、行為である。
しかし、
我々は本来「生きる」ということは、「走る」ということであった。
それを著者であるマクドゥーガル自身が出会うウルトラランナーたち、
そして走る部族タラウマラ族を通して教えてくれる。
現代では隔絶された「走る」というものが、
惜しげもなく備わっている驚きの事実を、
スーパードゥーバー口調と表情が体から染み出てきて、
読者は彼らと共にランナーズハイとリーディングハイを同時に味わう事になる。
しかしそれだけでは高音域だけが奏でられただけだろう。
本書の通奏低音として、
多種多様なる興味を持ちながら生きる事を許容している。
本来の生き方などというのは、
一種エリアを狭めこだわり、選択していくことだろう。
しかし、人間はそれだけでは生きていけない。
選ぶことの大事さも説きながら、
選ばれなかったものへの愛情を忘れない。
選ぶ理由というのは個人的状況であり、問題で、
選ばれなかった事というのはそれはそれで正しいのである。
僕にはそう教えてくれた、名著である。