324 家守綺譚 梨木香歩著

ぼくはこの方の、
「わかろうとしなさ具合」が好きですね、
なんだか知っている人やよくよく考えていることについて、
「わかったつもり」でいる側であろうとしてしまいがちだけど、
でもこの方は、
あくまで「わかろうとしない」側にいる。
それがいいなぁって思うんですよ。
つまりは、
簡単に、「そういうことにする」という世界に自分の考えを
送り込まずに、
ちゃんとどうなんだろうって、悩むんですよ。
それは自分のことも、相手のことも。
それって、素敵ですよ。
尊重や協調という言葉を安易に使うよりも、
わからろうとしない側にいる、
でも頑固で非流動的ではなく、
思考を可動させながらでおられるのがすばらしい。
いやはや、小説とみるか、エッセイとみるか、
また悩んでしまいそうです。