313 グレート・ギャツビー スコット・フィッツジェラルド著 

なんともアメリカらしい小説です。
非常に濃厚なエスプレッソを飲んだようであり、
また後味がさわやかであるように、
この小説の物語も一筋縄ではいかないはなしであり、
また読了感のよさは格別だ。
それでいて、
英文独特の韻律と流暢さをもっている。
それはなかなかを日本語に置き換えることは至難だ。
村上春樹をはじめ、
翻訳へのご苦労は言葉にならないほどだ。
しかしながら、
もともと英語も様々な欧州での言語が合わさって出来たように、
日本語も漢字、カタカナ、かな文字などが合わさっている。
韻律や流暢さなどの種類が違いがあるにせよ、
また、紡ぎだされた美形の違いがあるにせよ、
こう、なにか志というか、通ずるものはある気がするのだ。
そこはとても言葉で表現するのは難しいところだろう。
志の先に備わっている心地ぐあいとでも言ってみようか。
この物語や文章のなかにも、
容易く表現されているわけではないが、
ドーツで輪を描くことで作られる真ん中の空洞に、
しっかりとした確信があるかのように。
それは具体的かつ言葉にいい尽くせることではないだろうか。
でもなぜかこの物語が存在することで、
先の先をまで届けている。