295 竜馬の妻とその夫と愛人 故市川準監督

坂本竜馬という歴史人物を語るのに、
最適の映画ではないだろうか。
まわりの人が彼がどう言っていたか。
ひっちゃかめっちゃかに人物が動いていて、
その中に確実に竜馬がいる。
無茶なこともするし、
大きなことも言ったり、
間違ってるか、
正解なんて知っちゃあいねえで、
野暮なぐらいに信頼感があったんだろうなぁ。
百人ぐらいのかしこくって正しい話をするよりも、
馬鹿な話をする人だろう。
でもそれで史実は語られてきたし、
何も起こってない歴史だって、
立派にずっとあるんだからこその今なんだよなぁ。
頭脳型の司令官が歴史を育んでるって、
つい思っちゃうけど、
歴史の現場は町にもたくさんあって、
馬鹿やって酒飲んで、
愛だ恋だと夜な夜な話して、
朝っぱらからケンカして、
ってもうどこにでもある町人ばっかりなんだよなぁ。
歴史とか、難しい話だからこそ、
誰でも話せる簡単な話し言葉から出る面白さがたくさんあるだよなぁ。
真実かどうかなんてすっとばしてしまったところで、
その事について語れる可能性なんてものが事実とさえ言えて。
そう思うと、
1人の人生って、
亡くなってからも続いてるんだよなぁ。
竜馬だってそうだし、
市川準監督のこの作品も語ってくれるもんがたくさんあるもんなぁ。
すると、
馬鹿言うけど信頼できる人の話ってのをずいぶん聞きたいもんです。