249まあだだよ黒澤明監督遺作

黒澤明監督の遺作となったのが「まあだだよ」でした。
夏目漱石の弟子であった内田百間を描いて、
それがとても人間的でいい。
なんといっても猫好きだ。
この好きさは夏目漱石譲りであることはもちろんですが、
この映画を見た後に「我が輩は猫である」を想像すると、
夏目漱石もより憎めない。
そう、憎めないのです。
猫で右往左往する人らしさは愛らしい。
そして内田百間の弟子が猫の事情で右往左往するのも、
ひょうきんでいい。
なんだか知らないけど、見始めると惹き付けられる。
多くを語ったり、
大事が起きる訳でもないけれど、
妙な説得力がある。
下手な説教より、上手な教えですね。
教えは尊くて苦さが混じりがちだけれど、
この映画は後味の良さがある。
夕焼けの中に映る少年の牧歌的遊びのように、
またねー、ととっても爽やかです。
好き嫌いとかいう価値軸じゃなくて、
そういうもんだよなーって気持ちいいです。
ノスタルジーとして昭和を語るんじゃなくて、
本当にいい昭和を描いてるのは、
さすがは黒澤明だと思います。