243heart station 宇多田ヒカル

このアルバムに通して感じるのが女将魂です。
一人としての覚悟、
お店を切り盛りしていく姿勢、
語るときの母性。
前向きという言葉もそれほどすれ違ってはいないだろうが、
それだけでは言い尽くせない。
むしろ、なにかとあるところを見ている。
なにかとあるというのは、
嬉しいことだってある、
悲しいことだってある、
その両方だ。
それらを上手くかわすよりも、
向かいあう、立ち向かう。
もっと言うと、
それらを選ぶ、取り入れる、行使する。
時代は、近代から現代。
そして未来というのを描こうとする時、
便利な状況だから省けたり、除いたりできると思うし、
たしかに少しばかりの省略はできる。
だけれど、
幾時代が過ぎたり、
幾時代であろうとも、
それらはありつづける。
だから、向かいあう、立ち向かうというのを、
それらの前で描いてみる。
すると、不思議なことに、
ぼくたちがやっている省いたりすることが省けて、
ぼくたちがほんとはしたいんだよな、
ってことが出来ていたり、見えたりする。
それは騒がすような方法や派手やかさはないかもしれないけれど、
胸をときめかせる。
そのときめきは、
想像よりも人をかえてくれたりする。
なぜならば、その気だからね。