235 小松正史/キョウトアンビエンス

知るきっかけは、「音ってすごいね。」という本でした。
とても壮快なんです。
楽家の本というと、どうしても音楽理論などの難しい話しを、
連想してしまうけれど、この方は日常的な音楽。
普段聞こえる音についてを書かれていて、
それを難しく話すことも出来るのだろうけど、
すごく噛み砕いてわかりやすく、気持ちよく書いてくれている。
京都という町にとても興味があるようで、
その町の中にある音や、
その町の中に流す音楽を求めている。
ぼくも京都は好きですごく共感できる。
共感というと、おこがましいかも知れないけど、やっぱり嬉しい。
本を読んで以後に、CDを聞かせてもらうと、すごく優しいんですよ。
頭の中に隙間が出来るのが気持ちいいし、
聞いている時の耳とか皮膚感覚が喜んでいる気がする。
目の奥の方で色んなことを想像したりする。
それって、まさに京都にいるときだと思うんですよ。
07年の10月に出された、キョウトアンビエンス。
好きな時に聞けるアルバムって、すごく使い古された言葉だけど、
好きな場所や好きな人たちと会うときって、
それはなによりだと思う。ほんとに。
音楽を部屋の中に流していても、忘れてしまうぐらい溶け込む。
それって、すごい力だと思う。
木を見るときに枝やその先の実を見たりして、幹を忘れてしまったりするけど、
そこに居てくれるのが大事なんだよね。
枝の大事さもあって、今のこととか、先のことを見る目もいると思う。
それを行き来してるコツって、音を期待していると思う。
それって、聞いている人にも伝わる。
絵であったり、
言葉であったり、
音楽であったり、
信じきるのは本当に難しくて、信じきってはいけないところがあると思うけど、
期待のしかたが絶妙なんですよね。
そこに自分が動くことが根っこになっていて、
今までに貰ったつもりがないこと、
今までに教わったつもりがないこと、が出てくる。
そういうことに対して感謝している切なさがある。
切なさの語源は、「大切にする」と聞いたことがあります。
小松正史さんの大切にしているものが浮かんで、
聞いている人にも貰えるアルバムだと思う。