225 星新一

ショートショートのストーリーが大好きで、
たくさん読ませてもらってます。
主人公、登場人物が誰であるかから書かれる訳じゃなくて、
立場であったりとか、状況であったりに、
どうやってその環境の山を登るかが書かれている。
その山の登り方にその人の性質、人間性みたいなものが
とてもよく現れていて面白い。
見た方によっては破綻しているような部分も出ているけれど、
そこにやってしまうよなって思える人間臭さがあり、
また、一歩地団駄を踏んでやめてしまうのも、
肯定された世界ですごく心地よい。
ここに出てくる人って、
犯罪とかまでの悪はなくても悪ふざけで度を過ぎた人間味が
ある人が登場したり、
ヒロイズム的な正義感の人物とは違うまじめなかたさがある人が居て、
その二つの価値基準が交互に出てきて、
模様になる様子がとても面白い。
バカだなって言えてしまう所もあるし、
確かにそうだなぁ、っと納得してもいい部分もあり、
読む側がとても自由に語れる所が面白い。
ストーリーも、寓話なのがいい。
寓話ってつまりは、かしこさと幼稚さが両方で
成立するものがある話し言葉に近い書き方なんです。
だから、現代を舞台にしても、中世などの昔を舞台にしても、
窮屈さがない。
それと難しい設定や安易な設定を噛み砕いてくれる役割を、
寓話はしてるから、
読んでいて鼻につかないんです。
でも、微妙な橋を渡っているのは、だからこそ解って、
冒険してる時にも共感出来るんですよ。
言葉ってすごいなぁと思う所があって、
常識と非常識な部分を行き来する事が出来て、
やみつきになりすぎない遊び方をして、
またもう一度っていう挨拶までさしてくれるのは、
本当にすごい。
それは、お互いに確信犯になりながら読めるっていうのは、
物語性になった時のおみやげみたいなものだろう。
その確信犯になる範囲って、無限じゃなくて、
どこかでここまでしましょうと、締め切りがあると思う。
その締め切りを書きたかったのが、星さんじゃないだろうか。