182 笑福亭鶴瓶

TVタレントとしての時間が一番長いだろう。
それは見る側としても、本人としても。
だが、ラジオの時間もあるし、落語の時間もある。
ぼくがはじめに知ったのは、「らくごのご」だったと思う。
桂ざこばとメインをやり、寄席を模したセットにお客さんを入れ、
毎回のゲストやお客さんから出る三題噺をする。
ゲストの落語家を交えてすることもあるが、
メインの二人が先攻後攻を競うジャンケンは見応えがあった。
というのも、後になれば考える時間が自然とできる。
ただ、先にやってしまったもの勝ちもある。
その様から、いやもっと言えばゲストトークをして、
その流れや空気からお題を出される所までが落語になっているのが、
とても面白かった。
次に、見たのは、上岡龍太郎と二人で話していた「パペポ」。
テーマは一切なく、ひたすら舞台のうえに飛び出し話す。
芸人の不思議で素晴らしいのは、
まったく違うタイプが向い合い、並んでいられるところだと思う。
理路整然として、時にはすらっとかわす上岡龍太郎と、
五里霧中に足を敢えて入れ、かき回す鶴瓶
だけど、憎めないという二人の性格があってだろう。
その他、「きらきらアフロ」や「いろもん」など、若手、ベテラン問わずに
自らの色を出せるのはすごい。
昔、「平成のよあけ」という対談番組で、あれだけ、
互いに色を出せるのは、今思えば、他見た事がない。
その鶴瓶が、いま落語に打ち込んでいる。
現代落語を以前はやっていたが、古典落語をされている。
師匠の十八番であった「らくだ」に挑戦している。
このらくだは、落語をしている人の憧れだ。
志ん生、談志、などたくさんの名人芸がある。
同じ噺のはずが、芸人の視点が投影される。
視点が投影されるというのは、人生がでる。
立川談志の無邪気な怖さとは違い、
鶴瓶の人の憎めなさが怖くも、そして嬉しさがある。
ぜひ、見てほしいです。