46 松本清長 夏目漱石

松本清長。
黒革の手帳然り、砂の器然りと。。
処する所の社会派推理小説の開拓者と言われる方ですな。
作品を上げだすと限が無いのでやめよう。
明治・大正昭和と移り行く中で、
個と社会とが別離され、それ故に出来た溝による摩擦を描いている。
社会との個との間に仲立ちをする形で存在するのが「黒革の手帳」のようなものであり、
ある種の象徴的ものです。
っと、真面目固められた考えはこのへんで。
砂の器もそうなのだが、作品全体に出ている「砂っぽさ、さらっとしながらもジャッリっとした触感」
の表現力と素材感みたいな所が非常に面白い。
よくドラマになったりしているが、
この人の場合は推理って言うても、空間性みたいなものを持っているから、
先に本を読んでから、
時間軸の流れであるドラマを見るとわかりやすいからもしれない。

夏目漱石。こころ。
珍しくもうひとつ文学。
日本文学の祖ですな。
文学と小説を分けるのはなかなか難しい所があるが、
文学は個人の観念みたいな所から、社会を見せて、
小説は、社会の観念を事柄で見せるみたいな所って言うとわかるかな。
この人作品は癖が無いから凄い読みやすい。
いや、浸かりやすいと言うのが正しいか。
三島由紀夫なんかは癖そのもの。。
状況説明が乱視化されてるから、読みにくい。。
酔いまくってる飲み会遅れて行くような気分とでも言おうか。
観点は面白いのだけどな。。苦手です。
話の筋としては、田舎から出てきた学生が東京(都会)で、
先生と呼ぶ事になる人と出会い、学んでいく話です。
昔腐るほどこの辺の文学は読んだけど久々に読むと面白い。
確認作業みたいに読んでるところもあったりするけど、
なるほどっと面白い所もあったりする。
例えば、田舎の話の下りで、子供が大学を卒業したりする時に、
周囲の人を呼んで祝いをあげったて所があるのだけれど、
そこれで出てくる関係性が面白い。
当然悪い事でも無けれど、日本的な人間関係みたいな所で、
所謂田舎って言われる所じゃ、社会的な義理みたいな所があって、
呼ばないと五月蝿いし、呼んだら呼んだで大変って所があるって下りがあった。
ちょっと前にもあったが、バレンタインなんかまさにこれだなって思った。
習慣的、社会的義理チョコだよ。
女性の方お疲れ様です。。
当然好きで送る方もいるだろうけど。
葛飾の寅さんってイメージとして、下町として持たれてるけど実は違って、
あれは田舎なんだよな。
下町って、どっかドライでもっと都会的なんだよ本当は。
そう考えると、今じゃ逆転してる気がする。
義理が都会になって、田舎がドライって感じがする。
それはそうと、
昔って家がその家の伝統みたいなところがあって、
その家を出るって事は一種の覚悟必要で、
柵やらから出る覚悟ですな。
だから、昔はサザエさんみたいに3世帯だったり、4世帯で過ごしていた頃って言うのは、
二人でアパート暮らしを始めるとか、っていうのは結婚するつもりなんだろうな。
そっから、戦後ぐらいになると、マンションがボンボン立ったけど、
サラリーマンって、言う言葉が生まれたり、
社会人って言う言葉が生まれたり、
していって変化していったね。
今になると経済的な所が影響が強くなってるから、もう一回戻ってきてる気がする。