チームバチスタの栄光シリーズ 著海藤尊

チームバチスタの栄光
ナイチンゲールの沈黙
ジェネラル・ルージュの凱旋
イノセント・ゲリラの祝祭
と続けて読ませていただきました。
海藤さんは「桜宮サーガ」といわれる独自の世界を築き、
その世界の中に他書でフィクションを描いておられる。
病理医であることからのリアリティの医療行政と医療現場の
煩雑さと切迫は圧巻だ。
ストーリーや文章が劣るかというと、とんでもない。
まさに怒濤の如く、ページを読み進める手がとまらない。
人物像を見事に浮かび上がらせる描写と、
それを石つぶてにして広がる波紋はバタフライエフェクトのように大波となり、
しかし大波のニュースだけを伝えるのではなく、
しっかりとさざ波まで追いかけて描いていることがすばらしい。
すべての人をフォローして、文章を書くことはむずかいしい。
しかし、目の前にいる方にむけて、
伝わってほしいと切実に願いながら書くことで、響くものがある。
それは医療とて同じではないだろうか。